役 割
落橋防止装置とは、構造部材や地盤の破壊に伴う予期できない構造系の破壊が生じても、上部構造の落下を防止できるように設けるものです。1995年の阪神淡路大震災を機に、道路橋示方書が改訂されました。従来の落橋防止構造の機能を明確にし、新たに落橋防止システムが構築されました。落橋防止システムは、けたかかり長、落橋防止構造、変位制限構造および段差防止構造から構成されています。



 性 能
(1)
下部構造や支承が破壊し、上下部構造に予期しない大きな相対変位が生じた場合にも、落橋を防止します。(けたかかり長)
 
(2)
下部構造や支承が破壊し上下部構造間にけたかかり長をこえるような変位が生じないようにします。(落橋防止構造)

>>>けたかかり長

 
(3)
支承と補完し合って地震時慣性力に抵抗することを目的としたもので、支承が損傷した場合に上下部構造の相対変位が大きくならないようにします。(変位制限構造)
 
(4)
支承高が大きい鋼製支承などが破損した場合に、路面に車両の通行が困難となる段差が発生するのを防止します。(段差防止構造)

 種 類
橋梁の形式、支承のタイプ、地盤条件などに応じて適切に選定しなければなりません。
  PCケーブル連結
  落橋防止壁
  タイバー連結
  ピン連結
  ゴム被覆チェーン連結
  その他(ツナイダル)



性能および特徴

上部構造を相互に、または上部構造と下部構造を連結する構造としてPCケーブル鋼材を用います。施工実績が多く、偏向具を使用することにより多少の折れ角まで適用可能です。

 
|長 所|
地震時の衝撃が吸収できます。
 
桁芯の多少のずれも問題になりません。
 
移動量の大きい場合も適用可能です。

|短 所|
圧縮力に抵抗できません。
 
PC鋼線が長いため取り付け作業性が悪くなります。





性能および特徴

上部構造と下部構造に鋼製の梁やコンクリート壁を設置して、地震時の移動に対して衝突により落橋を防止する構造です。下フランジと下部工天端の間が狭い場合に適用します。
 
|長 所|
橋軸、橋直方向に各々抵抗させる構造が可能です。
 
ゴムプレートを取り付けることにより地震時の衝撃が吸収できます。

|短 所|
下部構造天端が狭い場合には、設置スペースの足らないことがあります。
 
上下部構造の施工誤差により、設計移動量を確保することが困難です。





性能および特徴

上部構造を相互に、または上部構造と下部構造を連結する構造として、鋼板で製作されたタイバー(連結板)をピンで連結するものです。

 
|長 所|
ピン取り付け位置が上下にずれても施工可能です。
 
重量が軽く施工しやすい構造です。

|短 所|
横方向に抵抗できません。
 
桁芯が大きくずれていると設置できません。
 
地震時の衝撃は吸収できません。
 
移動量が大きいと採用できません。





性能および特徴

上部構造を相互に連結する構造で、主桁端部に取り付けた鋼製の連結板をピンで連結するものです。

 
|長 所|
橋軸方向のみならず、鉛直方向も移動を拘束することができます。
 
溶接がないため比較的構造が簡単です。

|短 所|
横方向に抵抗できません。
 
桁芯が大きくずれていると設置できません。
 
地震時の衝撃は吸収できません。





性能および特徴

上部構造を相互に、または上部構造と下部構造を連結する構造として、鋼製チェーンで連結するものです。橋脚天端にスペースがない場合、および桁間の狭い場合に適用します。ゴムの弾性変形が緩衝機能となって、地震時の衝撃を緩和させることができます。

 
|長 所|
地震時の衝撃が吸収できます。
 
桁芯の多少のずれも問題になりません。
 
移動量の大きい場合も適用可能です。

|短 所|
圧縮力に抵抗できません。





性能および特徴

ブロック型ゴム被覆チェーン式落橋防止装置ツナイダルは、ゴムとチェーンの複合体です。U字型構造になっており、地震時の3次元の揺れに対応して自由自在に変化し、衝撃をやわらげ落橋を防ぎます。

|長 所|
地震時の衝撃が吸収できます。
 
U字型なので、桁端間の狭い空間にも取り付けることができます。
 
移動量の大きい場合も適用可能です。
 
ゴムに覆われているので、防錆効果があります。

|短 所|
圧縮力に抵抗できません。