Bridge Engineer Medal

ブリッジエンジニアメダル

ブリッジエンジニアメダルとは、本研究会において鋼橋技術の進歩ならびに鋼橋の発展普及に顕著な貢献のあった40歳以上50歳未満程度のエンジニアを表彰する制度です。コンサルタント・ファブリケータ・行政サイドに所属する実務者を顕彰することを目的とします。 また、鋼橋技術研究会法人会員に所属する者には限りません。
 

 

受章者一覧 2008 〜 2023

段下 義典 氏(だんした よしのり)

所属:川田工業株式会社

授章理由

 段下義典氏は、平成9年に川田工業株式会社に入社し、20年以上に渡り、鋼橋の新設橋設計・耐震補強設計・疲労対策・技術開発・応急復旧工事など幅広い分野の業務に従事しており、現在は、名古屋高速道路の改築事業において、鋼製橋脚隅角部の疲労実験やその評価を統括する立場で従事されています。
 同氏は、横浜ベイブリッジ耐震補強工事において、我が国初の本格的な鋼斜張橋の耐震補強に取り組み、補強部材を既設部材へ溶接する際の課題を明確にし、施工品質に留意した新たな補強構造の詳細の具体化に寄与しました。また、SBHS材を用いた溶接継手の疲労特性が明確ではなかった当時に、産学官共同にて疲労強度を確認し、従来の疲労設計曲線により評価できることを明らかにしました。最近では、都市高速改築事業の鋼製橋脚隅角部にSBHS500を適用すべく、疲労耐久性に対する検討方針の立案・実験を行い、適用性を証明しております。さらに、台風による船舶衝突被害を受けた既設鋼橋の復旧業務では、損傷状態における応力性状をFEM解析により検討し補強設計を立案したうえで、現場施工計画を主導するといった活躍をなされました。
 また、同氏は、日本橋梁建設協会において、縦桁とコンクリート床版の合成作用の解析的検討を行い、H29年に改定された道路橋示方書の根拠のひとつとなる論文を執筆し、現在は同協会の設計東日本部会長として、同協会の発刊図書の更新や協会へ寄せられる相談への対応、また、学会等の発刊図書の改訂委員会に属するなど、学会活動にも積極的に携わっています。
 以上のように、難易度の高い耐震補強設計、応急復旧工事等の多岐にわたる分野において、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、段下義典氏はブリッジエンジニアメダルを受章するにふさわしいと認められました。
 


久米 将紀 氏(くめ まさき)

所属:株式会社 横河ブリッジ

授章理由

 久米将紀氏は、平成3年に株式会社横河ブリッジに入社後、20年以上に渡り、鋼橋の架設、更新事業、耐震補強工事等に従事してきており、現在は中国自動車道の池田IC〜宝塚IC間の大規模更新工事に従事しています。
 同氏は、横河ブリッジ入社後、明石海峡大橋や来島大橋の長大橋ケーブル架設工事に始まり、西名阪道御幸大橋の床版更新工事、本四連絡橋与島橋や南備讃瀬戸大橋の耐震補強といった、難易度の高い大規模工事に長い間 携わっています。
 特に、西名阪道御幸大橋の床版更新工事においては、高速道路の重交通路線で初めてとなる「夜間全面通行止めによる床版取り替え、昼間1車線交通開放」という難しい条件下において、各種の施工確認試験を実施し、その成果を活かして工程を精査することで、非合成桁の床版取り替え工事を完成させています。さらに、後年には同橋の合成桁区間の床版取り替え工事に従事し、新たな床版の撤去・設置工法を提案したほか、プレキャスト床版同士の現場継手部に新たに開発したスリットループ継手を適用することで施工の更なる急速化を図り、集中工事の期間短縮を達成しています。これらの業務における功績が認められ、「土木学会関西支部技術賞」や「PC技術協会賞」を受章したことからも、同氏は架設工事において高度な技術を持ち合わせていることが証明されています。
 また、平成27年から令和2年にかけては、瀬戸大橋の耐震補強工事に従事し、技術研究所と共同で耐久性・耐荷性の試験や実物大模型による現場施工性試験を実施したうえで、初めてTRS(片面施工ボルト)を用いて大型の補強部材を取り付ける工事を成功させています。
 以上のように、難易度の高い架設工事や更新工事、耐震工事において鋼橋技術の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、久米将紀氏はブリッジエンジニアメダルを受彰するにふさわしいと認められました。

内田 裕也 氏(うちだ ゆうや)

所属:株式会社IHIインフラシステム

授章理由

 内田裕也氏は、平成12年に株式会社栗本鐵工所に入社後、20年以上に渡り、鋼橋の設計・製作・架設に従事しており、現在は株式会社IHIインフラシステムにおいて海外の大規模橋梁建設工事に従事されています。
 内田氏は、関西大学大学院博士課程において土木工学を専攻したのち、栗本鐵工所にて、合成床版「パイプスラブ」の開発や、設計担当および現場代理人として鋼上部工工事に携わりました。IHIインフラシステムへ統合された後は、鋼橋の設計から製作、架設まで一気通貫で関わることを念頭に、関西国際空港連絡橋応急復旧工事や、朝明(あさけ)川(がわ)橋工事(総重量5,000tの単弦ローゼ桁の送り出し架設)をはじめとする、難易度の高い橋梁工事に数多く関わられています。
 受章時は、ルーマニアのドナウ川に架かるブレイラ橋建設プロジェクトに従事しており、コロナ禍においても架橋現地にて数々の課題を解決しながら吊り橋の早期完成を目指し工事に取り組んでいます。
 以上のように、難易度の高い橋梁架設や応急復旧工事、海外プロジェクトにおいて、鋼橋の設計・製作・架設それぞれの立場での鋼橋技術の高度化および鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、内田裕也氏はブリッジエンジニアメダルを受章するにふさわしいと認められました。
 


有村 健太郎 氏(ありむら けんたろう)

所属:株式会社 オリエンタルコンサルタンツ

授章理由

 有村健太郎氏は、平成11年に株式会社巴コーポレーションに入社後、20年以上に渡り、橋梁設計に従事し、今日に至るまで産官学(鋼橋メーカー、建設コンサルタント、公共研究機関、大学院後期博士課程)のそれぞれの立場で鋼橋技術の発展に携わってきました。現在は、株式会社オリエンタルコンサルタンツにて研究開発や、解析・分析業務等の様々な業務に従事されています。
 有村氏は、平成24年から土木研究所において、腐食劣化の生じた鋼トラス橋に対する現地載荷試験や耐荷性能評価手法に関する研究に取り組み、その後、大阪市立大学大学院にて、腐食劣化の生じた鋼I桁橋の耐荷性能評価に関する研究で博士号を取得するなど、論文をはじめとする多くの研究成果を発表しています。
 また、土木学会鋼構造委員会や日本道路協会鋼橋小委員会、鋼橋技術研究会の研究部会など多くの委員会活動に携わり、道路橋示方書やガイドライン、その他基準類の改訂に関わる業務にも取り組んでいます。
 以上のように、腐食劣化の生じた鋼橋の耐荷性能評価に関する研究活動をはじめ、国内基準類の改訂に資する業務、委員会活動や論文執筆等により、鋼橋技術の高度化および鋼橋の発展・普及に対する建設コンサルタントの立場からの多大なる貢献が評価され、有村健太郎氏はブリッジエンジニアメダルを受章するにふさわしいと認められました。

井口 進 氏(いのくち すすむ)

所属:株式会社 横河ブリッジ

授章理由

 井口進氏は、平成9年に株式会社 横河ブリッジに入社後、これまで主として研究所にて研究業務や製品開発業務に従事してきました。研究業務では、長年にわたり鋼床版の疲労対策工法や疲労設計法に関する研究に携わってきました。
 合理化鋼床版構造の検討では、日本道路公団(当時)向けに新しい鋼床版構造の開発を行い、設計基準の整備に貢献されました。また、SFRC舗装による補強工法の検討は土木研究所との共同研究によりその成果をマニュアルとしてまとめるとともに、学術論文では土木学会構造工学論文集で論文賞を受賞しています。製品開発業務では、コールドスプレー技術を応用した高力ボルト部への特殊金属被覆工法やアルミニウム合金製の常設足場(アルミニウム協会賞を受賞)といった、鋼橋の維持管理や耐久性の向上に寄与する製品を開発しています。特に鋼床版の疲労に関する研究では、国内外の論文集にて成果を発表し、一連の成果をまとめ2010年に九州大学から博士(工学)を授与されています。
 外部活動では、日本橋梁建設協会で鋼床版部会にて部会長を務めるとともに、日本鋼構造協会、日本道路協会の委員会に参加し、各種報告書や基準類の執筆にかかわるなど、鋼橋の分野の発展に大きく貢献されました。
 また、鋼橋技術研究会では、平成14年 〜 16年に運営幹事会事務局を務め、部会担当事務局としての活動に加え、設立20周年式典の開催に貢献しました。

 以上のように、研究分野・外部活動分野などから、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、井口進氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

吉岡 勉 氏(よしおか つとむ)

所属:大日本コンサルタント株式会社

授章理由

 吉岡勉氏は、2000年4月に大日本コンサルタントに入社後今日に至る20年の間、鋼橋を中心とした橋梁設計、計測・診断及び各種研究活動に従事してきました。
 2003年からの土木研究所出向時に経験した超長大橋の構造性・耐風性の研究や3次元FEM解析の鋼橋適用性の研究を基に、2011年東日本大震災の復興事業として、気仙沼大島大橋(鋼中路アーチ橋356m)や気仙沼湾横断橋(鋼斜張橋680m)の長大橋設計に従事しました。その知識と経験を活かし、現在も新港・灘浜航路橋(連続斜張橋2730m)の構造検討及び概略設計を実施しており、近年の国内長大橋の設計及び技術伝承に精力的に取り組んでいます。
 また、2007年に多発した鋼トラス橋の斜材破断事故を契機として、実橋の計測・診断技術を習得し、埼玉大学にて構造ヘルスモニタリングやリダンダンシーに関する研究に従事して博士号を取得しました。
 加えて、鋼橋技術研究会のセンシング部会や土木学会鋼構造委員会のリダンダンシー小委員会に参画し、同世代の大学関係者とともに技術の研鑽・普及に貢献しました。

 以上のように、コンサルタント技術者としてこれらの実績は、鋼橋の発展、長大橋技術の伝承、保全技術の普及に大きな貢献が評価され、吉岡勉氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

中島 一浩 氏(なかじま かずひろ)

所属:株式会社ロブテックスファスニングシステム

授章理由

 中島一浩氏は、株式会社宮地鐵工所(現、宮地エンジニアリング)に入社され、鋼橋の設計に携わり、現在は株式会社ロブテックスファスニングシステムで鋼橋維持管理に採用されている、片側施工ボルトの研究開発に従事されてこられました。
 兵庫県南部地震の復旧設計を経験した後、京都大学大学院で耐震工学を学び、鋼橋技術研究会の耐震設計研究部会や日本橋梁建設協会の鋼橋耐震研究委員会で活動されました。
 現職では、片側施工ボルトを普及させるべく研究開発の成果を土木学会・日本鋼構造協会等で発表し、今や片側施工ボルトは、鋼橋の補強技術として不可欠な製品として認識されるに至り、鋼橋維持管理・補強工法として多大な貢献をされました。
 鋼橋技術研究会の維持管理部会では片面施工に関する検討を行い、現在、全国のアーチ・トラス系の鋼橋や瀬戸大橋の耐震補強には、片側施工ボルトによって当て板補修する工法が数多く採用されています。

 以上のように、その地道な検証活動、技術開発から、鋼橋の維持管理・補強技術の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、中島一浩氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

牟田口 拓泉 氏(むたぐち たくせん)

所属:株式会社IHIインフラシステム

授章理由

 牟田口拓泉氏は、平成10年に株式会社IHIに入社された後、平成21年11月からは株式会社IHIインフラシステムに所属されており、その間、鋼橋の架設技術者および保全技術者として、数多くの橋梁工事に携わってこられました。
 これまでの主な実績としては、『若戸大橋ケーブル関係補修工事22-3』の監理技術者として、吊橋のメインケーブルを中心とした健全性の調査、補修方針の策定、補修工事計画の策定および施工を指揮された他、『イズミット湾横断橋の主塔建設工事』ではコンストラクションマネージャーとして、現地の厳しい条件のもと、架設工法の選定、海外での部材・労務調達を行った上で、架設現場を指揮し、短納期での施工の実現に貢献されました。イズミット湾横断橋(オスマン・ガーズィー橋)は平成28年度土木学会田中賞(作品部門)を受賞されています。
 現在は建設部工事西第2グループに所属し、国土交通省近畿地方整備局の『国道2号淀川大橋床板取替他工事』の現場総括所長として活躍されています。
 以上のように、鋼橋の施工現場において特出した実績を残されていることから、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、牟田口拓泉氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

中澤 治郎 氏

所属:パシフィックコンサルタンツ株式会社

授章理由

 中澤治郎氏は、横浜国立大学卒業後、パシフィックコンサルタンツ株式会社に入社され、現在はインフラマネジメント部に所属し、鋼橋の新設設計から保全分野まで幅広く従事されています。
 最近では、首都高八重洲線汐留高架橋の改築設計を担当された他、首都高速道路株式会社と合同で耐久性を有する新しい床版(膨張材併用軽量床版)を開発され、首都高速道路神奈川7号横浜北線での実用化に貢献されました。
 また外部活動では、土木学会鋼構造委員会(「構造物の長寿命化技術に関する検討小委員会」、「鋼橋の支持機能検討小委員会」、「鋼橋の性能照査型維持管理とモニタリングに関する調査研究小委員会」)を8年間歴任され、各種報告書や基準類の執筆にかかわり、鋼橋の分野の発展に大きく寄与されました。
 鋼橋技術研究会では、平成13年より「鋼構造におけるコンクリートの活用研究部会」、「最新センシング技術の適用に関する研究部会」などで継続的に活動され、成果を論文や報告書にまとめる等大きく貢献されています。
 以上のように、設計分野・研究分野・外部活動分野と多くの分野からの、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、中澤治郎氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

村上 貴紀 氏

所属:宮地エンジニアリング株式会社

授章理由

 村上貴紀氏は、(株)宮地鐵工所(当時)に入社された1988年から今日に至るまで30年間に渡り、鋼道路橋を中心とした鋼構造物の溶接技術や非破壊検査を主たる業務とする研究開発部門に所属され、鋼橋の製作技術の発展に寄与してこられました。
 代表的なものとして、本四架橋においては予熱低減型HT780を用いたトラス弦材の製作に携わられた他、少数主桁省力化工法におけるI桁全断面溶接や鋼管の現場全周片面溶接、鋼殻セグメント溶接ロボットシステム、疲労強度改善法を施した実物大試験体の疲労試験などの研究開発に従事してこられました。
 また外部活動では、一般社団法人 日本橋梁建設協会の製作技術部会(2000年〜)、溶接技術部会(2003〜)、製作部会(2014〜)に所属し、鋼橋の製作技術、特に溶接技術の発展に向けて精力的に研究開発活動を続けられ、その功績から部会長に任命されました。現在では、鋼橋業界の指導的立場において、鋼橋溶接技術の更なる発展と後継技術者の育成に向け、日々研鑽を重ねられています。
 以上のように、鋼橋製作分野に対する多大なる貢献が評価され、村上貴紀氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

佐野 泰如 氏

所属:株式会社 横河ブリッジ

授章理由

 佐野泰如氏は,平成9年に株式会社 横河ブリッジに入社後,技術部にて設計業務,研究所にて基礎研究に従事されてこられました。現在は、設計センターにて設計業務に従事されつつ、設計業務を通して若手橋梁技術者の育成に尽力されておられます。
 設計業務では,横浜ベイブリッジの耐震補強の検討や阪和自動車道の特殊橋梁の耐震設計を担当されており,補強だけでなく制震ダンパーを利用した方法の提案もされております。
 研究業務では,矢作川橋の斜材定着部の疲労試験,アーチリブ橋軸直角方向の地震時耐荷力に関する実験的検討業務など大型の実験供試体を用いた実験を行われ,その成果を外部発表されております。
特に,アーチ橋に関する研究では,土木学会論文集に投稿し2008年に田中賞(論文部門)を受賞するとともに,一連の成果をまとめ2013年に東京大学から博士(工学)を授与されております。
 外部活動では,日本鋼構造協会や日本道路協会の委員会に参加し,各種報告書や基準類の執筆にかかわり,鋼橋の分野の発展に大きく寄与されております。一方,鋼橋技術研究会では,平成11年〜19年に旧技術情報部会で活動するとともに一時期幹事を務め,成果を論文や報告書にまとめる等大きく貢献されております。
 以上のように、設計分野・研究分野・外部活動分野と多くの分野からの、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、佐野泰如氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

上野 勝敏 氏

所属:川田テクノシステム株式会社

授章理由

 上野勝敏氏は、平成2年に川田テクノシステム株式会社に入社後、技術部にて、一貫して解析・設計業務に従事しておられます。
 10年程前からは、制震化耐震技術・維持管理を考慮した不静定構造物の設計技術の基礎を築き、現在若手橋梁技術者の育成に尽力されておられます。また、現在大阪市立大学にて、制震化技術・複合非線形解析の応用技術をテーマに、学位の取得に取り組んでおられます。
 主な業績としては、震災復興事業において、高い耐震性能を有する19径間連続の鋼床版立体ラーメン橋【阪神高速 弁天高架橋(世界初の橋脚下部免震構造)】の免震支承解析を担当され、これを契機に、多くの制震化耐震対策に関する業務に関わられており、制震化技術の先駆けとして常に若手技術者の指導を行っておられます。
 また、非対称な耐風索を有する長大歩道吊橋【九重“夢”大吊橋】の立体形状決定手法を確立されており、技術の継承が求められている現状において、吊橋の形状決定技術、斜張橋の設計プレストレス決定技術者の第一人者として、高く評価されておられます。
 以上のように、鋼橋の解析・詳細設計分野における、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献を考慮し、鋼橋技術研究会を支える様々な分野の会員技術者としての業績を評価して、上野勝敏氏は、ブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

本間 淳史 氏

所属:東日本高速道路株式会社

授章理由

 本間淳史氏は、早稲田大学卒業後、日本道路公団に入社し本社構造技術課に配属されました。入社後は、一貫して橋梁の建設に従事されてこられました。
 橋梁に関する研究活動も多く、長支間PC床版に関する研究をはじめ、複合トラス橋や波型ウェブ橋などの合成構造に関する研究にも従事されており、それらの研究成果は、第二東名高速道路の橋梁建設に多大に貢献し、実構造として反映されております。
 また、第二東名高速道路の橋梁建設の実務にも多く携われており、藁科川橋、大井川橋梁、内牧高架橋、吉岡JCT、猿田・巴高架橋などの橋梁の建設を行われております。
 道路公団からNEXCO各社への分割民営化後は、NEXCO総合技術研究所:橋梁研究室の室長などを歴任されており、橋梁の研究と鋼橋発展のための提言を続けてこられました。
 鋼橋技術研究会に対しては、平成19年度の研究発表会にて講演を行っていただき、有意義な提案もいただいております。
 以上のように、鋼橋の構造とその建設に対する幅広く深い知識を有しておられ、鋼橋の発展・普及に対する多大なる貢献が評価され、本間淳史氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

大庭 妙子 氏

所属:株式会社 東京鐵骨橋梁

授章理由

 大庭妙子氏は、平成4年に株式会社 東京鐵骨橋梁に入社され、現在は生産設計課に所属し、橋梁の製作に関する施工計画および施工管理に従事しておられます。
 入社後10年間は、CADオペレーターとして橋梁の原寸と工務の補助作業に従事されておりましたが、橋梁工務作業の理解度と業務に対する積極性を評価されて、現在の職場に配属されて、現在に至っております。特に鉄道関係工事では、現場代理人として、その実績が高く評価されています。
 これまでに、大小含めて約90件もの工事を担当されておられ。主な業績としては、JR東日本の新青森高架橋と東京上野ラインが挙げられます。新青森高架橋では、突貫工事による工程短縮のため、仮組立を省略することとなり、部材精度の向上に努められました。東京上野ラインでは、既設の新幹線高架橋の直上に門型橋脚を構築する難工事で、既設橋に設置されている仕口の出来形を新設構造物に反映させる必要があり、何度も夜間計測に出向き、計測結果を施工に反映させ、無事に工事を完成されておられます。業務に対する真摯な対応により、客先からの信頼は絶大であり、担当者として名指しで指名を受けることも多々あります。
 以上のように、昨今の女性の社会進出を促進する政策に先んじて、橋梁分野で女性技術者として活躍されており、また同分野の女性技術者に向けての執筆等もされておられることから、鋼橋の発展・普及に対する貢献、橋梁分野における女性技術者の鑑となる姿勢が評価され、大庭妙子氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

浦田 昌浩 氏

所属:大日本コンサルタント(株)

授章理由

 浦田昌浩氏は、1987年 4月に大日本コンサルタント株式会社にされ、今日まで様々な橋梁の計画・設計や研究に携わってこられました。
 鋼橋の計画・設計では、国内最大のアーチ支間を誇る新天門橋(鋼中路式アーチ橋、橋長463m、アーチ支間長350m)、隅田川の第1橋となる築地大橋(横支材を省略した開放的なバランスドアーチ橋)の他、新東名高速道路や首都圏中央連絡自動車道の高規格幹線道路の設計および久喜白岡ジャンクション、御殿場ジャンクションなどの大規模ジャンクションの設計に携われました。
 また、2012年 7月からは東日本大震災の復興事業に参画され、宮城県初の離島架橋事業である大島架橋(鶴亀大橋、鋼中路式アーチ橋、橋長356m)、東北地方整備局初となる斜張橋設計((仮称)気仙沼ベイブリッジ、3径間連続鋼斜張橋、橋長700m)などの長大橋の設計に従事された。また、これらの長大橋の設計においては、耐久性や維持管理を重視し要求性能を定め、構造設計の初期段階(形式選定)から経済性等の総合的な評価を行いつつ、具体的に反映させた先駆的な橋梁計画・設計として、技術検討委員会において高評価を受けております。
 さらに、これらの業務実績成果について論文として発表するとともに、国土交通省関東地方整備局および東北地方整備局から数多くの局長表彰、事務所長表彰を受賞されました。
 一方、学協会の活動においては、土木学会鋼構造委員会の鋼・合成構造標準示方書小委員会設計部会、日本鋼構造協会の鋼橋性能向上委員会耐震設計ガイドライン部会に参画し、技術の研鑽・普及に努められております。
 以上のように、コンサルタントの設計技術者として、鋼橋の発展普及に貢献が評価され、浦田昌浩氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

石井 博典 氏

所属:(株)横河ブリッジ

授章理由

 石井博典氏は、平成5年に(株)横河ブリッジに入社,研究所に配属後,橋梁維持管理から新設橋の構造検討に至るまで鋼橋に関する幅広い研究活動に携わられました。
 平成15年10月から2年半にわたっては東京大学の橋梁研究室に出向して既設インフラのモニタリングに関する研究を行い、平成19年にその成果をまとめて学位を取得されました。また、同大学在籍中の研究の一部をまとめた論文において、土木学会田中賞(論文部門)を受賞されています。
 平成18年からは、土木研究所との共同研究に参加し,鋼橋で大きな問題となった既設鋼床版の疲労に対して有効な対策の一つであるSFRC補強工法の確立に大きく貢献されました。この成果の一部をまとめた論文においても土木学会田中賞(論文部門)を受賞、別の論文においては構造工学論文賞を受賞されております。
 鋼橋技術研究会においては、平成18年から3年間、鋼橋技術研究会運営幹事会事務局として活動されました。その間に開催された「トークイン日本の鋼橋を考える」の一環として、鋼橋リダンダンシーに係る研究活動に参加し、その成果をまとめた論文においても、土木学会田中賞(論文部門)を受賞されております。
 現在、横河ブリッジホールディングス総合技術研究所に所属し、研究課長を務めており、最近では徳島県の「阿波しらさぎ大橋(ケーブルイグレット橋)」の耐風対策決定において中心的な立場を果たされました。
 以上のように、橋梁の建設、維持管理に多大なる貢献が評価され、石井博典氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

三輪 恭久 氏

所属:JFEエンジニアリング(株)

授章理由

 三輪恭久氏は、平成4年に日本鋼管株式会社入社(2003年、統合によりJFEに)以来、設計や製造担当として多くの新設橋梁に携わられました。鋼橋技術研究会では、耐震研究部会で、コンクリートを柱基部に部分充填した鋼製ラーメン橋脚の耐荷力実験を行い、その耐震性能・耐荷力特性を明らかにし、環境問題部会の活動ではCO2問題を取り上げ、それぞれ構造工学論文集等でも発表されております。また、橋梁建設協会の若手講習会での講師や、鋼技研の総会での特別講演などを積極的に行い、鋼橋技術の普及にも努めています。
 平成12年から海外橋梁部に所属され、下記のような実積を挙げられております。

1.ミャンマーにおける鋼橋技術発展への貢献
 2000年以来ミャンマーにおいて設計、製作、架設と全範囲における鋼橋技術導入を推進し該当国のインフラ整備、技術者の育成に大きく貢献されました。設計では日本の道路橋示方書に基づく詳細設計、架設設計(100mの張り出し架設)、疲労設計、耐震設計、作図方法を現地技術者に指導し、自力で設計が出来るレベルまで設計力を引き上げました。また、製作では現地工場に常駐し、工作図、材料調達、製造方法、品質管理方法をオンジョブで技術導入を行いました。さらには、道路橋だけでなく120mスパンの鉄道道路併用連続トラス橋の製作が可能になるまで能力を向上させました。架設作業においても、架設計画、機材計画などの事前準備の指導、現地架設の指導を行い、現在までに8橋の大型橋梁の完成に貢献されています。同国公共事業省との鋼構造製造・架設合弁会社設立を推進し、高品質の鋼橋を自国で供給できる体制を確立することで社会基盤整備の経済性の向上に大きく貢献されました。

2. シンガポール スカイパーク鉄骨工事のPM業務
 200m高さのホテル棟の屋上にホテル間連絡橋、世界一の張り出しを持つ展望デッキ支持橋梁を建設する前代未聞の工事を、PMとして統括し工期内に無事故で完成させ、わが国の高度な橋梁技術を世界に知らしめることとなりました。
 以上のように、日本のみならず海外の鋼橋の技術発展にも多大なる貢献が評価され、三輪恭久氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

明橋 克良 氏

所属:(株)ワイ・シー・イー

授章理由

 明橋克良氏は、昭和63年に大阪市立大学工学部で助手を務めた後、平成元年に(株)横河ブリッジに入社し、研究所と設計部において、基礎研究を始め新設橋梁の設計や建設に携わられました。その後、旧(株)橫河メンテック、橫河工事(株)、株式会社ワイ・シー・イーに所属し、橋梁の維持管理に従事してこられました。
 新設橋梁に関する業績としては、斜張橋として当時世界最長であった多々羅大橋(本州四国連絡橋公団)の設計、複合エクストラドーズド橋の揖斐川橋(日本道路公団 名古屋建設局)の設計に携わられました。また、平成14年度に田中賞(作品部門)を受賞した今別府川橋(鋼2主桁複合ラーメン橋)の建設においては、鋼2主桁とコンクリート橋脚の複合剛結部の構造を始めとして、多くの実験・解析的検討を行い、その建設、橋梁技術の発展に貢献されました。それらの成果を学協会に多数、論文として発表するとともに、その研究により、平成13年に大阪市立大学において学位を取得されました。
 保全工事の業績としては、首都高速道路の鋼製橋脚隅角部の疲労対策工事等に従事され、既設橋梁の保全工事に貢献されました。直近では、関東地方整備局管内における鋼橋の疲労損傷に対する詳細調査や補修補強検討業務に従事され、また、プレキャスト合成床版やスリットループ継手などの最新技術を随所に採用した西名阪自動車道・御幸大橋においては、管理技術者としてRC床版取替の詳細設計業務に従事される等、維持管理の最前線で活躍されておられます。
 委員会活動しては、当鋼橋技術研究会において、平成9年から12年にかけて、鋼構造におけるコンクリートの活用研究部会に所属され、研究活動の中心的な役割を果たされました。
 以上のように、長大橋の建設から維持管理まで幅広い知識を有し、橋梁の建設、維持管理に多大なる貢献が評価され、明橋克良氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

村越 潤 氏

所属:(独)土木研究所 構造物メンテンナンス研究センター

 

授章理由

 村越 潤氏は、昭和62年に建設省に入省し、旧土木研究所構造橋梁部橋梁研究室に配属され、その後の大半は橋梁の研究に従事されています。平成10年以降、本省建設経済局環境調整室、国土技術政策総合研究所地震防災研究室を経て、平成14年に、(独)土木研究所の構造物研究グループ橋梁担当の上席研究員に異動され、現在は同構造物メンテナンス研究センターの予測評価・上部構造担当の上席研究員としてご活躍されています。
 研究分野としては、鋼橋の疲労・腐食、鋼製橋脚の耐震性、橋梁の耐風安定性、既設橋梁の維持管理等と幅広く、それらの成果は土木学会、橋梁業界で高く評価されています。このうち、鋼橋の腐食に関する研究では、「鋼橋の腐食事例調査と腐食部材の補強法に関する研究」と題した論文により、平成13年の土木学会田中賞(論文部門)を受賞されました。また、近年では鋼床版の疲労損傷に関する研究において顕著な成果を上げられています。とくに、閉断面縦リブを有する鋼床版の疲労亀裂による損傷について、原因究明、非破壊調査法、補修補強方法及び疲労耐久性の向上技術に関する研究を進められ、それらの成果は、より耐久性の高い橋梁の建設や維持管理に大きく貢献しています。
 また、日本道路協会橋梁委員会の鋼橋小委員会幹事長として道路橋示方書Ⅱ鋼橋編の改定等に貢献され、平成23 年からは同鋼橋小委員会委員長に就任し、今年3月の道路橋示方書改定に大きく貢献されました。なお、道路橋示方書の次期改定では部分係数設計法の導入が検討されていますが、この部分係数設計法を鋼橋の設計に適用させるため、設計体系の構築、必要となる部分係数の設定方法及び具体的数値の検討に関し、指導的な役割を果たされています。
 さらに、直轄・自治体の鋼橋の設計施工・維持管理に係る技術支援や、国土交通大学校の各種構造物研修、日本鋼構造協会の鋼構造技術者育成講習会の講師、学協会の研究会等で講演されるなど、技術者の育成にも尽力されています。
 以上のように、鋼橋の研究や技術基準、現場の技術支援、技術者育成等において多彩かつ顕著な貢献が評価され、村越 潤氏はブリッジエンジニアメダルを受章するにふさわしいと認められました。
 


 

街道 浩 氏

所属:川田工業(株)

授章理由

 街道 浩氏は、昭和62年に川田工業(株)に入社し、今日まで鋼橋の設計、架設、技術開発及び委員会活動等の広範囲の分野の業務に従事してこられました。
 設計・架設の業績としては、首都高速道路のレインボーブリッジや有明西運河橋などの長大橋梁群の設計及び架設を携わられました。また、第二東名高速道路では少数主桁橋にPC床版を適用した最初の工区である東海大府高架橋、福岡北九州高速道路公社では福岡高速5号線の開断面箱桁橋に鋼・コンクリート合成床版を適用した最初の工区である第502工区高架橋などの性能確認試験と設計施工を遂行し、これら一連の合理化橋梁の実用化において、先駆者的な役割を果たされました。
 さらに、実業務における合成床版の開発や委員会活動を通じて、合成床版の実橋への適用を推進し、現在年間施工量が約20万m2に及ぶ合成床版の普及に貢献されました。この開発の経緯を「スタッドを用いた鋼板・コンクリート合成床版の疲労耐久性の評価と性能照査型設計法の提案」と題してまとめ、博士(工学)の学位を取得するとともに、この成果により、財団法人 災害科学研究所より優秀研究賞を受賞されました。また、業務の過程において、特許・実用新案・意匠等多数の知的財産権を登録されています。
 委員会活動においては、鋼橋技術研究会の「耐震・免震研究部会」の幹事を、土木学会 鋼構造委員会の「道路橋床版の合理化検討小委員会」の幹事長や複合構造委員会の委員を務められるなど、幅広くかつ中心的な役割を果たしてこられました。
 以上のように、鋼橋の建設に関する多彩かつ顕著な貢献が評価され、街道 浩氏はブリッジエンジニアメダルを受章するにふさわしいと認められました。

原田 政彦 氏

所属:大日本コンサルタント(株)

授章理由

 原田政彦氏は、昭和60年に大日本コンサルタント(株)に入社され、今日まで様々な橋梁の計画・設計や研究、開発に携わってこられました。
 鋼橋の計画・設計では、中路式ニールセンローゼ橋や曲線単弦ローゼ橋などのアーチ橋の業務や強風・塩害環境下となる離島架橋の業務などを手掛け、阪神高速道路公団に出向していた際には、湾岸線の橋梁設計にも携わっております。その後、既設橋の耐震補強や補修業務にも従事し、それら実務を通して、国土交通省北陸地方整備局から複数の業務で"優良業務表彰"や"優良技術者表彰"を受賞するなど、技術者として高い評価を受けています。
 研究では、複合構造、既設橋の補修・補強技術、振動特性などの論文発表も数多く行い、既設鋼橋の補強効果や診断方法に関する研究において博士号を取得するなど技術の向上に務めています。また、"斜材の実損傷による鋼トラス橋の振動変化に関する一検討"では、第54回構造工学シンポジウム論文賞(土木部門)を受賞するなどの論文でも高評価を得ています。
 また、土木学会年次学術講演会の座長を勤めるとともに、数多くの学協会活動に参加し、現在でも土木学会鋼構造委員会、土木学会中部支部、および北海道土木技術会鋼道路橋研究会に属し、自社組織内にとどまらず、鋼橋発展のために尽力を果たしておられます。
 さらに、橋脚の立替え工法で特許を取得し、その技術は、既設橋梁のグレードアップ工事における安全性と施工性の改善に寄与しています。
 以上のように、鋼橋の計画・設計および維持管理に関する顕著な貢献が評価され、原田政彦氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

藤原 英之 氏

所属:日鉄トピーブリッジ(株)

授章理由

 藤原英之氏は、昭和63年にトピー工業(株)に入社し、今日まで鋼橋の設計、工事計画、現場施工管理、技術研究開発、技術提案等の広範囲の分野の業務に従事してこられました。
 設計の業績としては、首都高速1号羽田線 羽田(平面旋回式)可動橋を担当し、可動方式を含む構造形式の選定から構造設計、そして一般橋には無い機構やその制御に関する検討を行い、構造に反映させました。
 工事計画、現場施工管理の業績としては、橋長(アーチ支間)303m(195m)となる上路アーチ橋のタイバック式カンチレバー工法や道路・線路を跨ぐ高架橋の手延べ送出し工法など、難易度の高い架設工事に従事し、施工管理・安全管理の技術レベルの向上を図りました。また、監理技術者として従事し、多径間主桁の一括横取り時の制御システムを導入した仙台東部道路の上部工工事では、東北地方整備局から国土建設週間における局長表彰を受けるなど高評価を得ています。
 技術研究開発の業績としては、鋼製橋脚アンカー部の地震時挙動に関する研究を行い、鋼・コンクリート複合構造としての鋼製橋脚アンカー部の力学挙動の解明に多大に貢献しました。その成果は、兵庫県南部地震後のアンカー部の耐震設計法の検討において、首都高速道路公団をはじめ広く活用されるとともに、土木学会賞田中賞(論文賞)を受賞するなどの評価を得ています。また、首都高速道路公団の鋼製橋脚アンカー部の合理化構造の開発に携わり、大型試験体による検証実験の主任研究員としてし、実験の立案からデータ解析まで行い、コスト縮減に寄与する現在の標準形式の具体化に貢献されました。さらに近年は、腐食鋼材のじん性評価手法に関する論文発表をおこなうなど、鋼橋技術の向上に努めています。
 また、学協会活動においても、日本橋梁建設協会、日本鋼構造協会や鋼橋技術研究会の部会活動などにも数多く参加した経験を有し、テキスト"鋼道路橋計画の手引き"やテクニカルレポート"耐候性橋梁の適用性評価と予防保全"の発刊に携わり、鋼橋発展のために尽力を果たしておられます。
 以上のように、鋼橋の建設に関する多彩かつ顕著な貢献が評価され、藤原英之氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

紫桃 孝一郎 氏

所属:東日本高速道路(株)

授章理由

 紫桃孝一郎氏は,昭和56年に日本道路公団に入社され、以来今日に至るまで橋梁の計画、建設、管理とそれに関わる技術開発などの様々な分野の仕事に従事してこられました。中でも、第二東名高速道路をはじめ、日本全国の高速道路橋の計画、設計、施工の管理・監督において独自の発想と指導力を発揮するとともに、これら実プロジェクトでの経験を生かした現場に密着した視点で基準整備等を行ってきたところは、よく知られたことであります。
 研究・開発面では、鋼橋のみならず、コンクリート、複合構造、下部、基礎など多岐にわたって先駆的な業務に取り組んでこられました。特に、鋼橋に関連しては、継手部における溶接とボルトの併用の研究、波型デッキプレートの合成床版の研究、PC床版の疲労研究など幅広く、現場に密着した数々の実験を行っています。
 阪神淡路大地震では、被災した日本道路公団の橋梁復旧工事に尽力し、震災後は、被災経験から得た知識を、橋梁の耐震性能評価や免震化等の研究に生かしてきています。
 現在は、NEXCO東日本 関東支社 三郷管理事務所にて、東京外郭環状道路の管理者として、現場の最前線で日夜、鋼橋の維持管理に従事されています。
 鋼橋技術研究会においては、長年、特別会員として参画し、これまでに技術委員会等で、橋梁形式の選定要領、各種合理化構造の適用事例や今後の展望、さらには維持管理の実態や課題など広範囲で多くの有意義な助言をいただいてきています。
 このように紫桃孝一郎氏は、鋼橋を中心とした橋梁の計画、建設、管理およびその技術開発に関して幅広く深い知識と経験を有し、時代のニーズに合った鋼橋の発展と鋼橋技術研究会活動発展に多大なる貢献を果してきておられ、ブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

柳沼 安俊 氏

所属:(株)東京鐵骨橋梁

授章理由

 柳沼安俊氏は、昭和63年に(株)東京鐵骨橋梁に入社し、その後22年にわたり、設計技術、生産技術、非破壊検査技術、維持管理技術などの橋梁技術に携わっています。
 非破壊検査技術の業績としては、明石海峡大橋・主構トラスの自動超音波検査装置の開発、首都高速・鋼製橋脚隅角部の超音波垂直探傷装置の開発が特筆されます。また、超音波探傷試験資格の3種を取得するとともに、超音波探傷技術に関する数多くの論文発表を行うなど、現在も検査技術の更なる向上に務めています。
 生産技術の業績としては、鉄道橋の主桁全断面現場溶接部に対するZ継手の適用性の検討が挙げられます。この検討は、その後のZ継手の実用化に大きく寄与しています.また、鋼製橋脚の疲労き裂対策を目的として首都高速道路技術センターに出向した際は、現場調査、補修・補強法の立案などを行う特別チームの中心メンバーとして活躍しました。
 学協会においては、土木学会を中心に活躍しています。2008年に出版された「高力ボルト摩擦接合継手の設計・施工・維持管理指針(案)」においては、それまで明確ではなかった維持管理基準を体系立ててわかりやく整理しています。現在も、鋼構造委員会の幹事、「鋼床版の疲労」改定小委員会と鋼構造物の連結に関する検討小委員会の委員を務めています。また、年次学術講演会の座長としても活躍しています。さらには、土木研究所との鋼床版の疲労き裂の補修・補強に関する共同研究も積極的に進めています。このように、自己の属する組織にとらわれことなく、鋼橋に関する技術の向上に向けた活動を続けています。
 現在は、(株)東京鐵骨橋梁の技術研究所の課長として、生産技術向上と試験研究を推進するとともに、首都高速道路技術センターにも席を置き、橋梁技術、特に維持管理技術に関する研鑽を積んでいます。
 以上のような鋼橋の建設および維持管理に関する多大な貢献、また橋梁技術向上に対する真摯な姿勢が評価され、柳沼安俊氏はブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。

三浦 一浩 氏

所属:(株)横河ブリッジ

授章理由

 三浦一浩氏は,昭和54年に横河工事(株)に入社、その後、平成2年に(株)横河ブリッジに入社し、一貫して鋼橋の架設に携わってきました。担当した架設工事は52工事あり、そのうち、37工事に重要な役割である所長および現場代理人として従事しました。携わった橋梁形式においても、鈑桁、箱桁などの桁構造をはじめ、トラス、アーチなどの骨組構造、鋼製橋脚と多種に渡り、最近では鋼・コンクリート複合斜張橋である新銚子大橋の現場代理人として活躍しました。また、担当する工事の規模が非常に大きく、中でも第二東名高速道路の大井川橋は、橋長704.250m、有効幅員16.5mを上下線2連で構成する大規模橋梁であり、変断面桁の送出し工法による架設と支間長127mの合成桁の施工は日本最大級で、非常に難易度の高い工事でしたが、高品質な施工と5年におよぶ工事期間を無事故・無災害で終えたことにより、旧日本道路公団より局長表彰を授与されました。

南 邦明 氏

所属:(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

授章理由

 南邦明氏は、昭和63年櫻田機械工業(株)(現(株)サクラダ)入社以来、一貫して鋼橋の建設に関する研究開発に携わってこられました。社内では、技術開発部門に籍をおき、鋼橋技術研究会施工部会をはじめとし、土木学会、溶接学会等の活動においても中心的な役割を果たし、以下のような研究成果を発表されました。

・溶融亜鉛めっきを施した溶接継手及びスカラップを有する併用継手の疲労強度
・溶接継手の極低サイクル疲労強度
・高力ボルト摩擦接合におけるすべり係数の提案及び太径ボルトの適用性の検討
・鋼橋で使用される鋼材の機械的性質および化学成分の現状調査
・鋼橋製作のすみ肉溶接のサイズ規定および予熱条件の提案
・鋼橋製作における大入熱溶接の適用性および入熱制限値の提案

 これらの研究成果の一部は、土木学会「鋼・合成構造標準示方書」に反映されています。また、今後、その他の製作基準等にも反映されると考えられ、鋼橋製作の合理化、経済化に資することが期待されます。平成18年度からは、鉄道・運輸機構に籍を移され、整備新幹線等の建設プロジェクトにおいて、これまでの知識と経験を活かし、優れた技術力を発揮し、鋼鉄道橋の建設を推進されています。
 このように南邦明氏は、鋼橋に関する豊富な研究実績を有され、鋼橋の建設に多大なる貢献を果たされていることからブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。
 


 

金子 傑 氏

所属:パシフィックコンサルタンツ(株)

授章理由

 金子傑氏は、昭和58年パシフィックコンサルタンツ(株)入社にされ、今日まで鋼橋の設計に一貫して携わってこられました。特に長大橋部門では、多々羅大橋において吊橋から斜張橋に構造変更する業務や、東京湾口大橋の実現性に関する構造検討業務に携わられました。斜張橋、吊橋に関して研究をされ、成果を論文に複数発表されました。その後、これらの経験から、中・長支間における吊形式橋梁の適用性に関する研究で博士を取得されておられます。
 土木学会関東支部技術研究発表会の座長を勤め、さらに、以下のような委員会活動をおこなっておられます。

・平成元年4月〜平成20年1月現在:鋼橋技術研究会 技術情報部会
・平成14年10月〜平成20年1月現在:建設コンサルタンツ協会 道路構造物専門委員会
・平成19年6月〜平成20年1月現在:土木学会 調査研究部門 鋼構造委員

 このように金子傑氏は、鋼橋の設計業務、委員会活動を通じて鋼橋の発展普及に顕著な貢献を行っていることから、ブリッジエンジニアメダルを授章するにふさわしいと認められました。